病気ウイルス 対策

ウイルスとは

ウイルスとは、ラテン語で「毒」という意味です。
光学顕微鏡では見ることができないほど小さく、大きさは20~300ナノメートルの病原体です。(1ナノメートル=10億分の1メートル)
千円札の肖像でも有名な野口英世は、黄熱病の病原体を見つけることができないまま亡くなりましたが、その後、1940年代に電子顕微鏡が開発され、黄熱病のウイルスが発見されています。
ウイルスは、単独で生命活動はできず、宿主の細胞内で増殖し、様々な病気を引き起こします。
インフルエンザやエイズ、がんの原因となるウイルスも存在し、動物だけでなく植物の病気も引き起こします。
外殻はタンパク質で、遺伝子のDNAまたはRNAどちらか1つの核酸を持っている非常に単純な構造をしています。
ウイルスは動物・植物・細菌を宿主とし、ウイルスの核酸は、宿主の力を借りて自らを複製していきます。
細菌と違って、宿主への感染がなければ増殖はできません。
ウイルスによる病気には、インフルエンザのように流行し、何百万人もの人がかかるものもあれば、脳炎などのように重篤な状態に陥る病気など、様々な病気を引き起こしています。
ウイルスの感染には、飛沫感染(ひまつかんせん)、経口感染、昆虫による媒介などがあります。
このような病気への一番の対策は、ワクチンで、1970年代ワクチンによって天然痘は撲滅されました。
現在も様々な研究によって、ウイルスによる病気への対策だけでなく、遺伝子治療としてウイルスを用いることも行われています。

風邪とウイルス

ウイルスが引き起こす病気の代表が「風邪」です。
風邪の原因となるウイルスの種類は200以上あります。
風邪は、咳やクシャミによる飛沫感染によってうつります。
体内に風邪の原因となるウイルスが侵入すると、好酸球などが活性酸素をウイルスに吹き付けてウイルスを退治します。
退治されずに残ったウイルスが増殖して、風邪を発病します。
そして、感染した細胞がインターフェロンを作り、免疫システムを作動して発熱します。
免疫細胞の活動によって、感染した細胞を排除し、抗体を作り出し、風邪を完治させていくのです。
抗生物質は、細菌には効果がありますが、ウイルスには効きません。
抗生物質を処方するのは、風邪などが原因で炎症が起こり、そこに雑菌が入って炎症を悪化させないためです。
免疫システムによって発熱するのは、免疫細胞を活発に働かせるためと、ウイルスや細菌が熱に弱いためです。
発熱によって、風邪以外のウイルスやがん細胞までも殺すことができるので、解熱剤を容易に使うことは避けましょう。
普段から健康に気をつけて、風邪をひいても免疫細胞が活発に動くようにしておくことが大切です。
風邪にならないための対策の1つは、この免疫力をつけることです。
睡眠を充分にとり、バランスの良い食事を心がけ、虫歯菌が体に入って免疫細胞の力を損ねないよう、虫歯や歯周病があれば治療しておきましょう。
風邪をはじめとして様々な病気への対策は、まず健康な生活を心がけることから始まるのです。

インフルエンザとウイルス

インフルエンザは風邪の一種です。
しかし、インフルエンザは風邪よりも症状が重く、感染すると風邪が鼻や喉など局部的に症状が起こるのとは違い、全身に症状が起こります。
発病は急で、熱も高くなり、感染すると小児や65歳以上の人は重症化しやすく死亡率が高い病気なのです。
現在、インフルエンザは、A・B・Cの3つの型に分けられます。
このうち流行しやすいのは、A・B型です。
A/H1N1ソ連型、A/H3N2香港型、B型が人の間で世界に広く流行しているので、ワクチンもこの3種類のウイルスを対象に作られています。
ワクチンの予防接種によって完全にインフルエンザにかからないようにすることは不可能ですが、感染しても重症化を防ぎ、合併症や死亡する危険性を減らすことができます。
予防接種は2回に分けて接種します。
1回目の接種から1~4週間空けて2回目を接種します。
4週間を過ぎても1回接種でも効果があるので、1回目から受けなおす必要はありません。
ワクチンはインフルエンザにかからないための対策として大きな効果があるものですが、流行する型が違う場合や、新しい型のウイルスが流行した時には、効果がないこともあります。
また、ワクチンの効果が有効な期間は5ヶ月間ですので、12月上旬までの接種が望ましいです。
空気の乾燥により、インフルエンザにかかりやすくなるので、インフルエンザにかからないための対策には、外出時のマスクや加湿器などが有効です。
うがいや手洗いも忘れずに行いましょう。
インフルエンザにより、さらなる病気を引き起こす危険を防ぐためにも対策を怠らないことが重要です。

抗インフルエンザウイルス剤―タミフル・リレンザ

冬場の怖い病気であるインフルエンザ発症への対策として、抗インフルエンザウイルス剤が用いられています。
抗インフルエンザウイルス剤としてよく知られている薬は、2001年より保険適用になったタミフルとリレンザです。
タミフルとリレンザは発症2日間の初期のA・B型インフルエンザに効果があるので、症状が出たらできるだけはやく病院へ行き、インフルエンザかどうかの検査を受けて処方してもらう必要があります。
インフルエンザとよく似た症状の病気もあるからです。
この2つの薬は、A・B型インフルエンザウイルスには効果がありますが、C型のウイルスや他のウイルスによる風邪には効果はありません。
タミフルは飲み薬、リレンザは吸入薬です。
リレンザは、ドライパウダーを専用の吸入器を使って吸入します。
一方、10代のタミフル服用者の副作用が社会問題となりました。
タミフルを服用した10代の若者が異常行動などにより死亡し、タミフルの副作用との関連が指摘されました。
このように、副作用の問題がある一方で、新型インフルエンザへの対策として備蓄も必要とされている薬でもあるのです。
インフルエンザは変化を繰り返すため、抗インフルエンザウイルス剤に効き目がなくなり、使用されなくなった薬がこれまでにもありました。
最近は、タミフルの効かない耐性のあるインフルエンザウイルスも出現しています。
抗インフルエンザウイルス剤はインフルエンザに効果がある薬ですが、副作用の問題もあり、安易に服用してはいけません。
必ず、医師の診断を仰ぎ、そのうえで服用してください。

肝炎とウイルス

肝炎とは文字通り、肝臓に炎症が起こる病気です。
肝炎は、病気となる原因によって薬剤性肝炎、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、ウイルス性肝炎の4つに分けられます。
日本人に起こる肝炎の80%がウイルス性肝炎です。
肝炎は病気が進行しても気付きにくいので、必ず健康診断を定期的に受け、肝機能に異常が見つかった場合にはすぐに精密検査を受けてください。
それが、病気を肝炎から肝硬変や肝臓がんに進行させないための重要な対策となるのです。
ウイルス性肝炎は、ウイルスが原因で起こる肝炎です。
肝炎を引き起こす主なウイルスには、A~E型のウイルスがあります。
このうち日本人がかかりやすいのは、B型肝炎・C型肝炎です。
B型肝炎もC型肝炎も血液を介してウイルスに感染します。
B型肝炎の原因には、母子感染、医療従事者の針事故、性交渉、傷口を介しての感染などがあります。
健康な成人になってからのB型肝炎の場合は一般的に一過性肝炎となり、急性肝炎や気付かないうちの自然治癒など症状の大きさは様々です。
母子感染など幼い頃に感染した場合、ウイルスを保持つづけるキャリアとなります。
キャリアでも症状がなくウイルスを保有しているだけの人が多いのですが、肝炎を発症し、慢性肝炎へと移行する人もキャリアのうち10%ほどいます。
C型肝炎の原因は輸血がほとんどで、性交渉や母子感染によることはほとんどありません。
ただし、成人になってからの感染は治りにくく、慢性化する人が多いのが特徴です。
2008年には肝炎患者への対策としてインターフェロン治療に対する助成が開始されました。
しかし、肝炎にかからないよう、かかっても病気を進行させないように検診を受けることが大切なのです。

日本のウイルス性肝炎対策

日本のB型肝炎とC型肝炎の患者数は合わせて約300万人で、日本最大の感染症となっています。
そのため、日本ではウイルス性肝炎への対策に取り組んでいます。
2008年から、その対策の1つとしてB型肝炎とC型肝炎のインターフェロン治療への医療費助成が開始されています。
そして、インターフェロン治療への医療費助成を柱として、肝炎ウイルス検査の促進、肝炎に対する正しい知識の普及、研究推進、健康管理、肝硬変・肝臓がん患者への適切な対応など、この病気への新たな総合的な対策が実施されています。
肝炎の治療には、インターフェロンやウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を投与する抗ウイルス療法と、抗ウイルス療法で効果が得られない場合に行う肝庇護療法があります。
インターフェロンによって、B型肝炎は約3割、C型肝炎の場合は約5~9割の人が、根治が可能です。
インターフェロンは副作用が強い薬であるために医者との充分な相談が必要です。
インターフェロンとは、ウイルスや細菌に感染した時に、体の細胞が作り出すタンパク質の一種です。
B型肝炎とC型肝炎の治療だけでなく、がん治療などの病気にも用いられます。
しかし、インターフェロンでの治療は高額のため、その治療を行う人が多くはありませんでした。
そこで、早期治療を促し、肝硬変や肝臓がんに進行させないための対策の1つとして、インターフェロン治療への医療費助成が決定されたのです。
インターフェロン治療の医療費助成額は、世帯所得によって自己負担限度額は1ヶ月につき1万~5万円です。
病気に万が一かかっても、このような助成などを活用し、病気の早期治療によって大切な命を守ってください。

タミフル耐性ウイルス

2009年1月、厚生労働省の発表によると、11都道府県で採取されたAソ連型のインフルエンザウイルスは、97%が抗インフルエンザ薬のタミフルに耐性があるウイルスでした。
2007年11月ごろから、北欧諸国を中心に世界各国でAソ連型のタミフル耐性ウイルスが現れています。
これらのウイルスはタミフルには耐性があるものの、リレンザには有効です。
また、ワクチン接種による効果はあるので、耐性のウイルス出現の対策としてワクチン接種が有効です。
耐性のウイルスの大半は、タミフルを使用していない地域で発生しているため、タミフルの使用によって耐性ができた訳ではありません。
また、中国で流行しているインフルエンザウイルスは、抗インフルエンザウイルス薬であるアマンタジン(商品名:シンメトレル)には耐性がありますが、タミフルは有効です。
2007年には、日本ではタミフル耐性ウイルスの出現率は低かったものの、2008/2009年のシーズンでは、上記のように日本でもタミフル耐性ウイルスが多く全国的に出現しているのです。
A香港型へのタミフル使用は有効なので、単にA型インフルエンザというだけではタミフルに耐性があるのかどうかはわかりません。
ワクチン接種では、Aソ連型・A香港型どちらにも効果があるために、インフルエンザにかからないようにするためにもワクチン接種は推奨されているのです。
そして、インフルエンザだけでなく病気にかからないための対策として、うがい・手洗いはかかせません。
ウイルスや細菌による病気の治療薬に耐性ができて効果がない場合が起こりうることを知っておいてください。

予防接種

予防接種は様々な病気にかかることを防止する役割があり、さらに多くの人が接種することで病気の蔓延への対策となります。
予防接種とは、病気の原因となるウイルスや細菌の毒素を弱めたワクチンの接種で、接種によって病気に対する免疫を作ります。
予防接種には、予防接種法や結核予防法により、接種を行う決められた期間(年齢)のある定期接種と、希望者が受ける任意接種があります。
定期接種の対象は、ポリオ、65歳以上の人のインフルエンザワクチン接種、DPT3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)、麻疹(はしか)、風疹、日本脳炎、BCG、B型肝炎(母子感染の対策のもの)があります。
2006年より、麻疹と風疹は混合されたMRの接種になっています。
定期接種のインフルエンザは65歳以上の人の他、60~64歳の心臓、腎臓、呼吸器、もしくはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害のある人が対象となっています。
日本脳炎ワクチン接種は、現在、副作用の問題で接種を差し控える勧告が出されています。
任意接種の対象は、おたふくかぜ、水ぼうそう、定期接種以外のインフルエンザ、定期接種以外のB型肝炎、肺炎球菌などがあります。
また、海外へ行く際に受ける任意接種には、A型肝炎、ペスト、コレラ、黄熱、狂犬病などがあります。
海外での病気の対策として、滞在地の状況に合わせた予防接種が必要です。
風疹のウイルスに抗体のない女性は妊娠前の風疹の予防接種により、妊娠中に風疹にかかって胎児に障害が起こる危険性を防ぐことができます。
予防接種は、病気にかかる本人だけでなく、これから生まれてくる胎児や、お母さんからもらった免疫が切れる赤ちゃんを守る、重要な対策なのです。

ノロウイルス

ノロウイルスは、感染性胃腸炎の原因となるウイルスの1つです。
感染性胃腸炎の原因には、ノロウイルスの他、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体があります。
感染性胃腸炎の原因となるウイルスには、ロタウイルス、腸管アデノウイルス、ノロウイルスなどがあります。
ノロウイルスによる食中毒は、年間を通して起こりますが、特に秋から年末が発生のピークとなります。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、経口感染によって広がります。
症状は、嘔吐、下痢、腹痛などで、おおむね軽症ですが、幼児や高齢者は重症になる場合があるので注意が必要です。
症状は1~2日です。
このウイルスに対する抗ウイルス薬はなく、脱水症状を抑え、体力を消耗しないよう対処療法が取られます。
感染の原因には、感染した人が調理したものを食べて感染する、ノロウイルスに汚染されたカキなど2枚貝を食べる、感染者の吐しゃ物や便を処理した時、人の多い場所での飛沫感染などがあります。
食品にウイルスが含まれている場合でも、ノロウイルスは熱に弱いので、中心温度85度で1分、しっかり熱を通すことで感染を防止できます。
調理用具や手指から感染がないように、しっかりと消毒することも大切です。
エタノールでの消毒はノロウイルスには効果がないので、調理用具も熱湯での消毒をしてください。
ノロウイルスに感染しても症状が出ない場合もありますが、症状がなくてもウイルスの排出はあります。
ウイルスの排出は長いと1ヶ月続きます。
ノロウイルス感染への対策は、感染しないための対策と同時に、自身がウイルスに感染している可能性を考えて、普段から衛生に気をつける必要があります。
ウイルスが原因の病気はノロウイルスの他に多くの病気があります。
感染しないためにも、ウイルスに対する知識を持ち、対処をこころがけてください。

麻疹(はしか)

麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによる感染症で、赤い発疹が全身に広がり、38度前後の高熱が出ます。
感染力が高く、感染した95%の人が発症する病気です。
麻疹への対策はワクチン接種が効果的です。
日本では、2006年から風疹と麻疹の対策として予防接種は1歳と小学校入学前に2回受けることになりました。
麻疹のワクチンは1度接種では免疫が付かない人もいるからです。
そのために、麻疹のウイルスを持った人がアメリカなど海外で発症し、ウイルスを広めてしまう問題も起こりました。
そして、2007年に大学生をはじめ10代から20代の年齢層に麻疹が流行しました。
2006年以前は予防接種を1度しか受けていないため、免疫を持たない人が多くいたためです。
そのため、厚生労働省は、1度しか予防接種を受けていない人のために、2度目の接種の機会を設けました。
それが、中学1年と高校3年での麻疹の予防接種で、公費で受けることができます。
期間が限定されており、平成20年4月1日~平成25年3月31日までの接種となります。
また、2006年より、麻疹と風疹混合のMRワクチンの接種となっています。
このため、中学1年と高校3年での麻疹の予防接種を受けられない人は、自費で予防接種を行う必要があります。
15歳以上で感染すると重症になる確率が高くなります。
肺炎や脳炎を併発する可能性が高くなるので、病気にならないため、重症化させないためにも対策として予防接種は重要なのです。

風疹と先天性風疹症候群(CRS)

風疹は、耳の後ろあたりのリンパ節が腫れる、3日間くらいの37.5度以上の発熱、全身の細かい発疹が起こる、俗に三日ばしかと呼ばれる病気です。
ウイルスの排出は発疹の出る一週間前後で、症状も麻疹(はしか)に比べて軽い病気です。
ウイルスの伝染性も麻疹や水ぼうそうと比べ低い感染症です。
しかし、頻度が少なくなったとは言え、妊娠中に風疹にかかるとウイルスが胎児に及んで先天性風疹症候群(CRS)が高頻度で起こるので注意が必要な病気です。
先天性風疹症候群への対策として、妊娠適齢期前のワクチン接種が有効です。
先天性風疹症候群(CRS)とは、妊娠初期に風疹に免疫のない妊婦が風疹になり、ウイルスが胎児に感染することによって、出産児に現れる先天的障害のことです。
CRSの症状は先天性心疾患、難聴、白内障、網膜症、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞など多岐に渡ります。
CRSは、感染した妊婦から胎児に感染する確率は約1/3、さらに感染した胎児がCRSを発症するのは、その約1/3です。
現在、風疹のワクチン接種は、このCRSにならないための対策となっています。
風疹の流行とCRSの発症の高い年度は一致しており、CRSにならないよう赤ちゃんを守る対策として、ワクチンの予防接種は必要なものなのです。
風疹への対策として、現在、麻疹と風疹の混合ワクチンMRの定期接種が2度行われています。
この機会を活用してぜひ風疹の予防接種をしてください。

新型インフルエンザとインフルエンザ・パンデミック

新型インフルエンザとは、鳥をはじめとする動物のインフルエンザウイルスの遺伝子が突然変異を起こし、人間のインフルエンザウイルスとの遺伝子組み換えによって人に感染しやすくなった新型インフルエンザウイルスが感染しておこる病気のことです。
現在、H5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスがアメリカを除く4大陸で発生しています。
この鳥インフルエンザが人へ感染し、さらに人から人へと感染する状況が危惧されています。
パンデミック(Pandemic)とは、世界の広い地域での病気の流行や、多くの感染者・患者の発生を指し、AIDSにも用いられたことばです。
インフルエンザ・パンデミックとは、新型インフルエンザが世界中で大流行して感染が次々に拡大する状態を言います。
パンデミックをそのままインフルエンザ・パンデミックを指すことばとして、用いる場合もあります。
WHO(世界保健機関)はパンデミックの驚異を世界に伝えると同時に、パンデミックへの事前予防の対策を取れるようにパンデミック警報として6つのフェーズを用いています。
WHOのパンデミックの警報フェーズは、感染の危険性の低い順から1~6まであります。
現在の世界のパンデミックの警報フェーズはフェーズ3です。
フェーズ3とは、新しい亜型ウイルスへの人への感染が認められているが、きわめて限定的な状態です。
ウイルスの感染は、世界での大きな流行による患者数の増大、労働者の感染による企業倒産など経済的影響や日常生活の制限など様々な問題を引き起こすことが危惧されています。
パンデミックへの対策だけでなく、全ての病気への対策として、自分自身が感染者を広げないようにマスクをするなどの行動は基本となります。
うがいをするなど様々なウイルスへの対策を普段から行うことが、パンデミックをはじめ様々な病気への大きな対策となるのです。

海外旅行での病気予防

海外旅行では、気候や気温の違い、時差、飛行機での長時間の移動により、体力的にも精神的にも負担が大きく、病気を引き起こしてしまう可能性が大きくなります。
楽しく健康に旅行を楽しめるように、さらに海外でウイルスの感染源とならないためにも、対策を知っておきましょう。
まず、渡航先で体調を崩さないよう自分の体調を整えておきましょう。
持病のある人は、体調を悪化させないためにも旅行前に主治医との相談が必要です。
そして、入国許可を得るためと、日本にはない感染症にならないためにも予防接種をしてください。
アフリカや南アメリカの熱帯地域では、黄熱ワクチン接種をしていないと入国できません。
留学などの長期滞在の場合も、予防接種が義務付けられる場合があります。
A型肝炎や破傷風、狂犬病などの予防接種も行き先に応じて接種しておきましょう。
ワクチンの種類によって2~3回の接種を必要とするものがあるので、旅行前のできるだけ早い時期に接種を受けましょう。
旅行先では、生水や動物、昆虫などを媒介してウイルスに感染して発病することもあります。
食べ物は必ず火を通したものを食べましょう。
また、ウイルスなどに感染しても潜伏期の長い病気がありますので、海外旅行から戻って2ヶ月程度は、発病した場合、医師に海外旅行に行ったことを告げて相談してください。
海外旅行に際しては、旅行前・旅行中・旅行後の発病も考えて、対策を行うよう心がけてください。

動物由来感染症

動物由来感染症とは、動物から人へとうつる感染症です。
動物由来感染症の原因となる病原体は、時には何メートルにもなる寄生虫からウイルスまで様々な種類があります。
ウイルスが原因である感染症は狂犬病・インフルエンザ・日本脳炎、細菌が原因のペスト・サルモネラ症などがあります。
日本では、平成11年4月1日に感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)と改正狂犬病予防法が施行されています。
これらの法律は、日本での新たな感染症の発生に備え、そして、新しい対策を確立するためのものです。
日本では、昭和32年以降、狂犬病は発生していません。
現在、狂犬病予防の対策として、飼い犬の登録・予防接種・未登録の犬の捕獲、抑留・犬、猫、アライグマ、狐、スカンクの検疫が行われています。
検疫を受けた犬、猫、アライグマ、狐、スカンクでなければ、輸出入はできません。
動物由来感染症にかからないための対策は、正しい予防法を身につけることです。
ペットを飼っている人は、大切なペットからの感染を防止しなくてはなりません。
犬を飼っている人は必ず登録し、予防接種を受けさせましょう。
動物の口や爪にウイルスなどがいる場合があるので、口移しで餌を与えないようにしてください。
ペットと一緒に寝ると、寝ている間にひっかかれて感染することもあります。
ペットの身の回りを清潔に保ち、糞尿の始末を行い、動物に触った場合には、しっかり手洗いをして病気にならないよう感染を防ぎましょう。
そして、かかりつけの動物病院を持ち、病気の予防など様々なことを相談できる体制を作りましょう。

プールを介して起こる感染症

夏は食中毒だけでなく、感染症には注意が必要な季節です。
プールで泳ぐ際に、気をつけなければならない感染症があります。
咽頭結膜熱は、アデノウイルスと言うウイルスの感染によって起こります。
アデノウイルスは便や唾液などから感染するのですが、プールの水を介して感染する確率の高い病気なのでプール熱とも言われます。
プールでのタオルの貸し借りや、水泳の後、よく体や目を洗わないことが原因で感染するので、注意が必要です。
ウイルスの感染から5~7日を経て、発熱・結膜炎・喉の腫れなどの風邪に似た症状が起こる病気で、重症化することもあります。
プールで感染しやすい病気には、この咽頭結膜熱の他に、同じくアデノウイルスの感染で起こる流行性角結膜炎や、ウイルスによる良性いぼである水いぼ(伝染性軟属腫)があります。
流行性結膜炎は、感染力が強く、目やにが出て結膜・角膜が炎症を起こし、発熱・リンパ節の腫れなどを伴います。
水いぼは、ほとんどが自然治癒します。
このようにプールに入る機会の多い季節は、プールを介して地域や学校などで集団感染することもあります。
ウイルスの感染を防ぐためには、体や手などの清潔を保つことが重要です。
タオルの貸し借りは控え、新しいタオルを使うように心がけてください。
プールに入る際には、上記のような対策を心がけましょう。
そして、ウイルス感染だけでなく病気にかからない対策として、睡眠と栄養をしっかりととることで、健康を保つことが大切なのです。

ワクチンとは

ワクチンは、インフルエンザなどの病気の対策に有効なので、人間だけでなく家畜に投与することで、体に免疫を作りウイルスや細菌の感染を防ぎます。
ワクチンは、病気の原因となるウイルスや細菌などの病原体の力を弱めて作られます。
そして、そのワクチンを接種することで、体の中に抗体ができ、感染を阻止するのです。
免疫とは、体に入ってきた有害なものを排除しようとする働きのことです。
ワクチンには生ワクチン・不活化ワクチン・トキソイドの3種類があります。
生ワクチンは、力を弱めた病原体そのものを使います。
生きたウイルスや細菌を用いるので、通常病気になった時と同じ経緯を得て、免疫を作り出すことができます。
1度接種すると効果は、一生続くと言われます。
そのため、生ワクチンは不活性化ワクチンよりも免疫力が大きいと言われています。
生ワクチンを用いる予防接種には、ポリオ、水ぼうそう、BCG、おたふくかぜなどがあります。
不活性化ワクチンは、死滅した病原体を使います。
死んだ病原体なので、生ワクチンより安全性は高いのですが、免疫は持続せず、一定期間を過ぎると追加接種が必要となります。
不活性化ワクチンでの予防接種には、インフルエンザ、コレラ、A型肝炎などのワクチンがあります。
破傷風やジフテリアは細菌の毒素(トキシン)が病気を引き起こします。
そのため、その細菌の毒性だけを取り除いた細菌をワクチンとして使用して免疫を作り出すのがトキソイドです。
病気への大きな効果のある対策として、このようなワクチンの予防接種はかかせないのです。

腸管免疫

免疫とは、体外から入ってきた細菌やウイルスなどの病原体から、自分の体を守る仕組みです。
もし、免疫の働きがなければ病気にかかりやすくなるだけなく、病気や怪我の症状が悪化してしまいます。
人間の体の免疫の役割を持つ細胞には、白血球の中のリンパ球や形質細胞などがあります。
そして、小腸・大腸の粘膜の中に約60%のリンパ球が集まっています。
つまり、腸には体の約60%の免疫細胞があるのです。
腸はいろいろな栄養素を吸収する場所です。
体外から入ってくるのは、食べ物だけでなく、ウイルスや細菌などの病原体など有害なものがあり、そのために腸管には、大きな免疫システムができています。
これが腸管免疫です。
腸管は、必要な栄養素を吸収すると同時に、ウイルスや細菌を排除する役割があります。
このため、腸管免疫は、様々な病気と密接な関係を持っています。
腸管免疫が落ちると、様々な病原体が入り、腸管の悪玉菌が増え、腸内環境が悪くなります。
腸管免疫にはガン化した細胞を殺す作用もあるため、腸管免疫の低下は大腸がんになりやすさにつながる、と言われています。
また、潰瘍性大腸炎やクローン病では、腸管免疫が異常に活発な場合があります。
免疫が強すぎて、自分の腸をリンパ球などが攻撃してしまうのです。
このため、病気にかからない対策として、免疫力を低下させることなく強すぎもせず、という免疫のバランスを保つ必要があるのです。
またストレスも腸の免疫力と大きな関係があります。
腸内環境を整える対策として、ストレスをためないこと、適度な運動をすること、そしてバランスの良い食事を取ることが必要です。

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は冬に多い病気です。
RSウイルスが気管や喉などの気道に感染し、軽い風邪の症状から肺炎まで、様々な症状を起こします。
乳幼児がこのウイルスに感染すると影響が大きく、初めての感染の場合1/3が肺炎などの下気道疾患を起こします。
乳児の約70%が1歳までで感染し、2歳までには100%の幼児が感染すると言われます。
また、1度かかっても免疫が充分につかないため、何度でもかかる病気ですが、再感染の度に症状は軽くなります。
年長児や成人がウイルスに感染しても、症状は軽度で済む場合が多くなります。
RSウイルス感染症は世界中で発生し、お母さんの抗体をもらった6ヶ月未満の赤ちゃんも感染し、乳幼児は重症化しやすい病気です。
症状は発熱や鼻水、咳などで1~2週間で回復します。
しかし、乳幼児は風邪の症状から肺炎や細気管支炎などの下気道疾患へと移行することが多いので注意が必要です。
現在、RSウイルス感染症のワクチンはありません。
RSウイルス感染症は飛沫感染や接触が原因となって感染するので、感染予防としての対策は、手洗いやマスクの着用です。
RSウイルスは石鹸やアルコールに弱いので、しっかりと手を消毒しておきましょう。
また、この病気はたばこの受動喫煙で感染リスクが高くなります。
特に冬は窓を閉めきるので、そのリスクが大きくなります。
RSウイルス感染症をはじめとして肺炎などの病気にかからないための対策として、小さな子どもがいる家庭では、家族は喫煙を控えることが望ましいのです。

ウイルス・マーカー

ウイルスに感染すると、特定のたんぱく質が血液中に現れます。
これがウイルス・マーカーです。
ウイルス・マーカーには、抗原と抗体の2種類があります。
抗原はウイルス、ウイルスの一部で、現在そのウイルスに感染している状態を意味します。
抗体は、抗原が体に入った時にキラーT細胞やB細胞が作り出し、抗原を攻撃するタンパク質です。
B型肝炎ウイルス・マーカー検査の場合では、最初にB型肝炎ウイルスの抗原であるHBs抗原を調べます。
陽性(+)を示した場合B型肝炎ウイルスに感染している状態です。
そして、HBs抗原が陽性の場合、HBe抗原、HBe抗体、ウイルス量を調べます。
HBs抗体が陽性(+)の場合は、過去にウイルスに感染したが現在治癒しており免疫ができている可能性が高い状態です。
このウイルス・マーカーの結果と肝機能検査、病歴や精密検査などから、医師がB型肝炎の状態を判断します。
B型肝炎ウイルス・マーカー検査は、妊婦には必ず行われています。
もし、妊婦が感染していても、生まれた赤ちゃんにはすぐに抗体が投与され、ワクチン接種も行われるため感染を防ぐことができます。
また、B型肝炎ウイルス・マーカー検査によって感染が判明すれば、嫌悪感などの症状を抑え、肝硬変や肝臓がんへの進行を防ぎ、治癒できる可能性もあります。
このように、ウイルス・マーカーによる検査は、病気の治療や進行を抑える大きな対策となるのです。
健康診断などで異常値が出た場合、ウイルス・マーカーによる検査などを受けましょう。
万が一、感染していても、その後の病気への対策を立てやすくなるのです。

ウイルスの感染経路

ウイルスは様々な方法で感染し、病気を発症します。
感染経路を知っておくことは、感染経路を遮断して感染を防止するなど、病気への対策を考えるために大変重要です。
感染経路には、下記のようなものがあります。
・飛沫(ひまつ)感染
ウイルスなどの病原体が咳やくしゃみなどによって空気中に拡散し、その病原体を吸入することで感染するのが飛沫感染です。
インフルエンザや風疹など様々な病気の感染経路です。
・経口感染
ウイルスに汚染された食品や水などの摂取や、感染者の便などの始末によっての感染です。
A型肝炎、ポリオ、ロタウイルスなどがあります。
・接触感染
ウイルスに感染した人との性行為など、皮膚や体液に接触し、感染者の使ったタオルなどが感染経路です。
ウイルスの接触感染による病気には、エイズや流行性角結膜炎などがあります。
・昆虫媒介感染
昆虫に血を吸われる際にウイルスが感染します。
蚊によってウイルスが媒介される日本脳炎・テング熱、マダニによるアルボ・ウィルス感染症などがあります。
この他にも、母から子へ伝わる子宮内感染(妊娠初期の風疹による感染など)、B型肝炎の感染の1つである経胎盤感染などの種類があります。
感染経路によって、ワクチン接種、消毒用エタノールを使う、マスクやうがい、タオルなどを共用しない、などのウイルスに感染しないための対策を講じることができます。
海外旅行の際には、これらの感染経路を知っておいて病気への対策をしっかり頭に入れておきましょう。

ウイルスと空気清浄機

空気清浄機は、花粉やダニ、埃やニオイを取り除く家電です。
フィルターを通して、空気中の花粉などを取り除く機能のものと、チリや埃をイオン化して捕集する機能のものなどがあります。
空気清浄機は、花粉症などアレルギーへの対策として効果がある家電ですが、最近は、細菌やウイルスを取り除く空気清浄機も販売されています。
三洋電機では電解水の力で脱臭・ウイルスなどの抑制を行う「ウイルス・ウォッシャー」機能付きの加湿空気清浄機や空気清浄機を販売しています。
電解水をミスト化して、部屋の隅々へ送り、ウイルスや花粉、浮遊菌などの除菌・抑制を行います。
そして、アレルブロックフィルターでウイルスや花粉、カビなどを捕まえ、除菌・抑制を行います。
象印の加湿空気清浄機PD-AS12は、集塵・除菌脱臭フィルターがカビやウイルスの活動を抑制、浮遊菌を除去すると同時に、除菌加湿フィルターで浮遊菌の繁殖を抑制します。
日立の多機能空気清浄機「クリエア7」は、HEPAフィルターが花粉やダニ、ウイルスをしっかりと捕まえます。
さらに、ホルムアルデヒドまで脱臭、加湿、衣類乾燥などの機能もある空気清浄機です。
シャープのKIREION(キレイオン)シリーズの加湿空気清浄機・空気清浄機は、プラズマ放電によるイオン放出でカビ菌やウイルスを分解・除去するプラズマクラスター技術を用いています。
さらに、富士フイルムの空間清浄機KPD1000は、インフルエンザ抗体を塗った抗インフルエンザフィルターが使われています。
病気の原因となるウイルスへの対策として、このように様々な空気清浄機が販売されています。
用途に応じて、どのような機能があるのかを確かめて、空気清浄機を選ぶことは、病気への対策の1つとなります。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌の感染によって起こる嘔吐や下痢などの症状を起こす病気の総称です。
毎年、秋から冬にかけて流行しますが、冬の感染性胃腸炎はノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルスなどのウイルスが主な病原体であり、夏は細菌を主な原因としています。
晩秋から年末にかけての感染性胃腸炎は、ノロウイルス感染が多く、年が開けて1月~4月までは、ロタウイルス感染による発症が多くなります。
細菌系には、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、サルモネラなどがあります。
また、寄生虫も感染性胃腸炎の原因となります。
このように、一口に感染性胃腸炎と言っても、原因になる病原体に様々な種類がある病気なのです。
ノロウイルス感染症やロタウイルス感染症は、感染性胃腸炎に含まれます。
ロタウイルス感染症の場合は、下痢の便が白く、仮性小児コレラとも呼ばれていました。
ノロウイルスもロタウイルスも、感染力が強いうえに、子どもやお年寄りが感染すると重症化する危険性が大きくなるので、注意が必要です。
感染性胃腸炎の対策には、手洗いや食品の加熱などを心がけましょう。
下痢や嘔吐の症状が出ている人は、特に食品を取り扱う仕事に従事している場合、作業を控える必要があります。
そして、二次感染防止のため、感染した人の便の処理などを取り扱う際、使い捨ての手袋を用いるなどの対策を講じてください。
汚物や吐しゃ物は乾燥するとウイルスが舞ってしまうので、乾燥させないように、処理しなければなりません。

ウイルスが原因の子どもの病気―突発性発疹・水ぼうそう

乳幼児は、様々な病気に気をつけなければなりません。
対策として、子どもがかかりやすい病気を知っておきましょう。
・突発性発疹
赤ちゃんが最初にかかる病気として知られているのが、突発性発疹です。
90%の赤ちゃんが1歳未満でかかります。
ヒトヘルペスウイルス6型もしくは7型が原因で起こります。
突然38度以上の熱が出て、その熱が3~4日続きます。
そして、熱が下がってから全身に赤い発疹が現れて、突発性発疹であるとわかります。
高熱の割には、赤ちゃんは元気で副作用の心配の少ない病気ですが、熱性けいれんを起こす場合もあるので、注意が必要です。
また、赤ちゃんの初めての高熱が必ずしも突発性発疹とは限りません。
麻疹など、他の高熱の出る病気の可能性も考えておくことが必要です。
この病気に関する予防は特にありません。
治療法は、症状に合わせた対症療法が中心となります。
・水ぼうそう(水痘)
帯状疱疹ウイルスが原因で起こる感染症です。
ウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期は平均14日です。
ウイルスの感染力が強いので、兄弟などでうつりやすい病気です。
保育所や幼稚園での集団感染が多いのが特長です。
赤い発疹が発熱と同時に出ます。
この発疹1つ1つが水疱となり、かゆみが出てきます。
このため、かゆくて水疱を掻きこわしての化膿を防がなくてはなりません。
この水疱が、かさぶたとなります。
感染力が大きいので、幼稚園や学校に行ってよいかの判断は必ず医師の判断を仰ぎましょう。
水ぼうそうにかかると2度はかかりません。
しかし、水ぼうそうが治った後もウイルスが残っていて、顔や背中などの神経に沿って帯状の発疹ができて痛みを伴う帯状発疹を起こすことがあります。
予防の対策として、ワクチン接種が可能です。

ウイルスが原因の子どもの病気―ヘルパンギーナ・手足口病

子どもは様々な病気にかかります。
子どもがかかりやすい病気を知っておくことは、病気が流行した時の予防の対策でもあり、病気になった時の対処方法にも役立ちます。
・ヘルパンギーナ
突然39℃前後の高熱が出て、喉の奥に水疱や潰瘍ができる夏風邪の1種です。
主にコクサッキーA型のウイルスの感染によって起こる病気です。
水疱が潰れ、潰瘍によって、喉が痛くなり、飲食や唾液を飲み込むことが困難になる場合があります。
食べ物や飲み物を飲み込むことが難しくなるため、脱水症状には注意が必要な病気です。
感染は飛沫感染、もしくは経口感染です。
ワクチンはなく、治療も症状を緩和するための対処療法が中心となります。
・手足口病
英語でも、Hand-Foot-Mouth Diseaseである通り、手・足・口に発疹や水疱ができる病気です。
手のひらや足の裏、口の中の粘膜に米粒大の発疹や水疱が表れます。
手足口病の原因となるウイルスには、コクサッキーウイルスA16・A10、エンテロウイルス71などがあります。
夏場を中心に乳幼児がかかりやすい病気です。
飛沫感染や経口感染によって発病します。
発疹や水疱に痛みはありませんが、水疱が破れ潰瘍となると痛みがあり、ものを飲み込みにくくなるため、乳幼児は脱水症状になる危険性があります。
手足口病の治療は、症状を緩和する対症療法です。
たいていは、7~10日で治ります。
このように、病気によって脱水症状になる危険性のある、などを知ることが、子どもの病気への対策となるのです。
病気になった時の子どもの状態には、充分気をつけておくことが大切です。

マスクの効果と種類

病気の予防への対策として、そして人へ病気をうつさないためにマスクを使用する人が多く見かけられるようになりました。
マスクは、口や鼻を覆うことで咳・くしゃみの飛沫が空気中に飛散するのを防ぎます。
また、埃や飛沫を吸い込んでしまうことを防止するためにも使われています。
ウイルス感染への対策として、マスク着用は大きな効果があります。
マスクはフィルターによって、埃やウイルスなどを含んだ飛沫を捕らえる効果があります。
しかし、マスクを着用していても、吸入する空気全てがフィルターを通してはおらず、顔とマスクとの隙間からウイルスを含んだ飛沫や埃が入る可能性があります。
密閉性が高いマスクでは、呼吸が難しくなるという難点も持っています。
マスクは、家庭用マスク・医療用マスク・産業用マスクに分けられます。
日常生活において使用するのは、家庭用マスクです。
家庭用マスクは、不織布(ふしょく)製マスクとガーゼマスクに分けられます。
ガーゼマスクは、複数枚のガーゼを重ね合わせています。
現在、市販されている家庭用マスクのうち約3%がガーゼマスクです。
昔から改良・工夫がなされていて保湿・保温面で優れています。
不織布製マスクは、織っていない繊維や糸を接着して作った布でできたマスクで、埃や飛沫を捕らえるフィルターの性能に優れ、現在、市販されているマスクの約97%を占めます。
大きく分けて、プリーツ型マスクと立体型マスクの2種類があります。
医療現場で使う外科用マスク(サージカルマスク)も、医療用の不織布製マスクです。

不織布製マスクとは

病気の予防・感染防止の対策として、不織布製マスクが注目されています。
不織布は、繊維を織らずに様々な方法で接着させたもので、マスクをはじめ、カーペットの素材、ティーバッグ、紙おむつなど様々な用途で用いられています。
様々な繊維を組み合わせることで厚みや隙間を自由に変えることができます。
不織布製マスクは粒子や飛沫を捕らえることに優れ、通気性もあり、花粉症の流行と共に広く普及して、現在、市販されているマスクの約97%を占めています。
不織布製マスクは大きく分けて、プリーツ型マスク・立体型マスクの2種類があります。
プリーツ型マスクは、プリーツ構造になっており、プリーツを上下に広げることにより、顔面にフィットさせることができます。
また、口の動きでマスクがずれる心配が少ないのが特長です。
立体型マスクは、顔のラインに沿った形で作られており、顔との密着性が高まり、顔面とマスクとの隙間が少ないのが特長です。
女性にとっては、口紅がうつりにくいのも嬉しい特長です。
不織布製マスクには、花粉用とかぜ用の商品が販売されています。
ウイルスを含む飛沫の大きさは5マイクロメートル(1マイクロメートルは1mmの1/1000)。
一方、花粉の大きさは20~30マイクロメートルです。
つまり、かぜ用のマスクの方がより、埃やウイルスを含む飛沫を遮断することができるのです。
一方、花粉用は、かぜ用よりも呼吸が楽であり、使い分けを上手に行うのが良いでしょう。
兼用で購入するならば、かぜ用を選びましょう。
新型インフルエンザへの対策としても不織布製マスクの家庭での備蓄が推奨されています。
目安として、1人あたり8週間分20~25枚です。
新型インフルエンザが流行してしまうとマスクが足りなくなる可能性があるため、流行する前の備蓄が望まれています。
病気の予防のために、自分に合ったマスクを用意しておくことが大切です。

不織布製マスクの使用方法

病気の感染予防の対策に有効な不織布製マスクは、1日1枚程度の使用で、原則として使い捨てのマスクです。
マスクのフィルターにはウイルスや細菌などの病原体が付着している可能性があるので、着用中はできるだけ触らないようにしましょう。
また、不織布製マスクを着用していても飛沫を吸い込むことを完全に防止はできません。
より有効な対策としては、症状のある人に近づかない、人混みの多い場所に行かない、手洗いなどの感染予防が優先されます。
病気にかかり、咳・くしゃみの症状がある人は、周囲の人に病気を感染させないために外出を控えてください。
外出の必要がある人は、ウイルスや細菌を含んだ飛沫の飛散防止のため、不織布製マスクをしましょう。
小児用の不織布製マスクも販売されています。
幼児が不織布製マスクを使用する際は、保護者など大人が正しく着用させてください。
不織布製マスクを着用するときは、必ず使用説明書を見て、それに従って着用してください。
まず、鼻や口・顎をマスクで覆います。
特に、鼻と口は確実に覆ってください。
プリーツ型マスクは、プリーツを上下に広げることで覆うことができます。
隙間をなくすために、鼻筋の部分も顔にフィットさせてください。
マスクを外すときは、表面に触れないようにはずし、ビニール袋に入れ、袋の口を閉めて廃棄してください。
そして、ウイルスが手や指に残っている可能性を考え、マスクをはずした後の手洗いも忘れてはいけません。
不織布製マスクを正しく使用することが、病気への大きな対策として効果を発揮するのです。

エマージングウイルス

2003年、中国で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は、世界を震撼させました。
その時の致死率は、9.6%です。
SARSの原因となるウイルスは、新型のコロナウイルスとわかりました。
ワクチン接種や抗生物質投与などによる感染症の対策が進み、1980年、WHO(世界保健機関)は天然痘の根絶宣言を行いました。
その他の感染症も、ワクチン接種などによって、根絶されていくだろうと思われていました。
しかし、翌年の1981年にエイズが発生し、その後も次々と新しい感染症が現れてきました。
これまでに確認されていなかった感染症で、局地的あるいは国際的に大きな問題となる感染症を進行感染症(エマージングディジーズ・エマージング感染症)と言い、この感染症の原因となるウイルスがエマージングウイルスです。
エマージングウイルスは、上で述べたSARSの原因ウイルスであるSARSコロナウイルスの他、エイズのウイルスであるHIV、高病原性トリインフルエンザのトリインフルエンザウイルスなどがあります。
肝炎のウイルスであるC型肝炎ウイルスもエマージングウイルスであり、C型肝炎は肝硬変や肝臓がんへ移行する危険性のある病気として、社会的に問題となっています。
エマージングウイルスは野生動物を宿主とするウイルスで、野生動物に感染しても、病状はないか、軽い症状で収まっています。
しかし、それが人間に感染することによって健康に大きな被害を与える感染症を引き起こしているのです。
進行感染症が、次々と起こる背景には、森林破壊や世界人口の増加、野生動物の輸入・飼育などによって人間と野生動物との距離が近くなったことが一因とも言われています。
環境破壊による影響は、このような未知のウイルスによる病気の発生・拡大という状況も作り出しているのです。
進行感染症の対策としては、エイズの場合、性教育などによる予防対策が重要となります。
新型インフルエンザなど今後起こる可能性のある病気に対して、世界全体での監視体制も必要とされています。

手洗い・うがいの方法

インフルエンザなどの病気の対策として、手洗いやうがいが推奨されています。
正しい手洗いやうがいは、細菌やウイルスなど病原体から体を守ります。
手洗いやうがいを習慣にすることで、細菌やウイルスの感染を防ぎ、病気になりにくい体を作ることができます。
小さな子どもがいる家庭では、まず大人が正しい手洗いやうがいを行い、子どもの手本となることも大切です。
手洗いでは、指輪をしている人は、指輪と皮膚の間に病原体が入り込んでしまうことがあるので、指輪をはずしておこないましょう。
インフルエンザなどが流行している期間は、指輪をはずしておくのもよいでしょう。
指と指の間は、細菌やウイルスが溜まってしまいやすい場所です。
両手の指を組んで、指と指の間もしっかりと洗いましょう。
洗う場所は、手のひらや指先だけでなく、手の甲や手首まで忘れないように洗ってください。
手洗いが終わった後は、清潔やタオルやペーパータオルで手を拭いてください。
濡れたタオルは菌が繁殖しやすいので注意が必要です。
うがいをする場合は、ぬるま湯やうがい薬を使います。
うがい薬は必ず説明書に書いてあるとおりに薄めて利用してください。
これを1~2回行います。
まず、コップに入った量の半分から1/2を口に含んで、正面を向いて口の中を10~15秒くらいゆすいでください。
次に、半分から1/2を口に含み、上を向いて喉の奥までとどくようにして、10~15秒くらいガラガラとうがいをしてください。
うがいは、喉の殺菌だけでなく、喉を潤し、乾燥を防ぎ、ウイルスや細菌を寄せ付けないという効果もあります。
手洗い・うがいは最も基本的な病気への対策です。
手洗いやうがいは、石鹸やうがい薬でなくても水で充分、効果があるので、ぜひ習慣づけて欲しい病気の予防対策なのです。

万能インフルエンザワクチン

新型インフルエンザは世界的なパンデミック(大流行)が危惧されている病気です。
過去に起こったインフルエンザ・パンデミックには、スペイン風邪と呼ばれた1918~1919年のスペインインフルエンザのパンデミックがありました。
この時には、まだ抗生物質もワクチンもないために流行を防ぐ手段がなく、世界保健機関(WHO)によると患者数は世界人口の25~30%で、世界で約4,000万人が亡くなりました。
日本の内務省統計の報告では、この時の患者数は約2300万、死亡者約38万人でした。
新型インフルエンザによる、パンデミックが起こった場合、スペイン風邪の流行時よりも飛行機などによって人口移動が大きくなっていることから、さらに大きな被害が起こる可能性があります。
インフルエンザの対策には、抗インフルエンザウイルス剤やワクチンがあります。
しかし、タミフルに耐性のあるウイルスも出現するなど、抗インフルエンザウイルス剤は万能ではありません。
さらに、インフルエンザのウイルスも毎年変異を繰り返すため、ワクチンも流行を予想したものを接種しており、予想がはずれて効果のない場合もある欠点があります。
平成21年1月、国立感染症研究所・北海道大学・埼玉医科大学・化学メーカーの日油による厚生労働省研究班が、どんなインフルエンザにも効果がある万能インフルエンザワクチンを開発したと発表しました。
インフルエンザウイルスの内部にあるタンパク質は変異しにくいことに注目して開発されました。
現在はマウスでの実験結果であり、人に使用した場合の副作用の確認が必要です。
新型インフルエンザへの対策として、できるだけ早い実用化が望まれています。
新しい病気への対策として、このように新たな研究が次々と行われています。