卵巣がん

抗がん剤感受性試験

再発や進行がんの治療は、化学療法である抗がん剤投与が主となります。
しかし、同じ抗がん剤であっても、患者によって必ずしも効果があるとは限らず、しかも強い副作用によって患者の生活の質(QOL=Quality of Life)を低下させてしまうことがあります。
そのため、できる限り効果のある抗がん剤を使い、有効性を少しでも高めるために行われるのは抗がん剤感受性試験です。
抗がん剤感受性試験は、患者に対して効く抗がん剤・効かない抗がん剤を判断するために行われます。
効かない抗がん剤を投与しないことによって、患者は副作用などの負担を軽減できます。
そして、効く可能性のある抗がん剤投与により、抗がん剤の有効性を高めることができるのです。
手術で摘出された患者のがん細胞を抗がん剤と一緒に培養し、がん細胞がどうなっているかを検査します。
がん細胞を死滅できた抗がん剤は感受性がある、死滅できなかった抗がん剤は感受性がない、と判断されます。
抗がん剤感受性試験が行われているがんは、卵巣がん、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、頭頸部がん、肺がん、食道がん、膵臓がん、胃がん、大腸がんなどがあります。
しかし、病院によって試験が行われるがんの種類が違ううえに、抗がん剤感受性試験の行われている病院は少ないのが現状です。
抗がん剤感受性試験の検査料は約3万円です。
先進医療制度によって保険診療の道が開け、大学病院以外でも抗がん剤感受性試験が行われるようになってきました。
抗がん剤感受性試験は卵巣がんをはじめ、多くのがん患者を助けるための先進医療の1つであり、選択肢の1つなのです。

生命保険の保険料払い込み免除について

卵巣がんなど病気になったときに、生命保険の保険料の支払いが気になる方がいらっしゃることでしょう。
生命保険は被保険者(こども保険の場合は契約者)が不慮の事故にあった時、事故の日を含め180日以内に約款で定められている状態になった場合、以後の保険料の払い込みが免除になります。
ただし、一般の生命保険は、所定の高度障害状態となると死亡保険金と同額の高度障害保険金が支払われ契約が消滅します。
保険料の払い込みが免除になる場合には、高度障害保険金は支払われません。
保険料払い込み免除特約をつけておくと、3大疾病や身体障害状態、要介護状態などによって以後の保険料が免除となる会社があります。
免除になる用件は保険会社によって異なります。
保険会社によって医療保険やがん保険などで高度障害状態となった場合に保険料振込み免除となる商品もあります。
保険料の払い込みが経済的理由などで困難になった場合には、保険金の減額や特約だけを解約する方法があります。
逆に保障に備えるため特約を途中で加えることもできます。
ただし、保険の種類によっては特約の中途付加ができない場合もあります。
生命保険は、卵巣がんなどになった場合にどのような保障があるか、というだけでなく、保険が使いやすいかどうかも契約の判断に必要なことなのです。
そして、一度契約したらそのままにしておくのではなく、特約の見直しなど現状に応じた保障になるよう見直すことが大切なのです。

先進医療

大学病院などで確立された高度な医療技術など新しい治療法の実績が厚生労働省に認められ、特定の医療機関でのその技術提供が承認されたものを先進医療といいます。
先進医療は、保険給付対象とすべきかどうか適正な医療を提供するために評価が必要であるとされる治療法です。
有効性と安全性確保のため、実施できる療法および医療機関が決められており、保険診療との併用が可能です。
先進医療は技術料が自己負担ですが、その他の入院料・診察料などは公的な医療保険給付の対象となるため、患者の自己負担額を減らすことができます。
平成20年12月1日現在85種類の先進医療があり、595件の医療機関で提供されています。
卵巣がんに関係する先進医療には、和歌山県立医科大学附属病院・岩手医科大学附属病院で行われているSDI法による抗悪性腫瘍感受性試験、大阪医科大学附属病院はじめ16機関で行われているHDRA法又はCD-DST法による抗悪性腫瘍感受性試験があります。
抗がん剤は副作用が大きい薬でありながら、その薬が患者に効くとは限りません。
そこで、抗がん剤投与の前に効果があるかどうかの予測がつくと、患者の負担が少なくなります。
現在は、どの抗がん剤が効くのか、ではなく、どの抗がん剤が効かないかを調べるものです。
抗がん剤感受性試験は、患者の手術で取り出されたがん組織を培養して抗がん剤を加え、その効果を判定するものでSDI法、CD-DST法、HDRA法の3つがあります。
卵巣がんをはじめ、さまざまな病気に対する先進医療が現在も行われているのです。

生命保険の様々な特約

特約には、保険の主契約に特約を付加することにより、主契約の保障内容を充実させる役割があります。
特約の付加条件は生命保険会社によって異なります。
また、名称が同じ特約であっても生命保険会社によって保障内容・給付条件など異なる場合があるので、説明をしっかり受け、約款の確認を怠ってはいけません。
生命保険の主な特約を機能の違いによって分類すると、一定期間の死亡保障を厚くする特約、不慮の事故による死亡事故や障害に備える特約、入院・手術・通院など治療全般に備えるための特約、所定の介護状態に備える特約、特定の疾病や損傷の治療に備えるための特約、リビング・ニーズ特約などがあります。
リビング・ニーズ特約は、卵巣がんなど原因にかかわらず余命が6ヶ月以内と医師に判断された場合、死亡保険金の一部もしくは全部が生前に受け取れるもので、この特約の保険料は必要ありません。
一定期間の死亡保障を厚くする特約とは、定期保険特約、家族定期保険特約、収入保障特約、生存給付金付定期保険特約、特定疾病保障特約などです。
入院・手術・通院など治療全般に備えるための特約とは、疾病入院特約、災害入院特約、短期入院特約、長期入院特約、通院特約、疾病(災害)退院後療養特約などです。
特定の疾病や損傷の治療に備えるための特約には、成人病(生活習慣病)入院特約、卵巣がんなど女性特有の疾病を保障する女性疾病入院特約、がん特約、特定損傷特約、重度慢性疾患保障特約、先進医療特約などがあります。
これらの特約は、取り扱っていない会社もあるので必ずどのような特約があるのかを確認する必要があります。

生命保険の様々な主契約

生命保険の主契約は、生命保険のベースとなる部分です。
主契約は次のように、様々な種類があるので、どの保険が自分に適しているのか説明を受け、相談、内容をよく理解したうえで契約する必要があります。
・定期保険
一定の保険期間に死亡した場合にのみ死亡保険金が受け取れる保険です。
保険金額が保険期間中一定で変わらない定額のタイプが一般的ですが、保険料が一定で保険金額が減っていくもの、保険金額が増えていくものもあります。
・収入保障保険
契約者が亡くなった後、契約時に定めた期間まで年金が受け取れますが、いつ亡くなったかで、年金を受け取れる回数が変わります。
・生存給付金付定期保険
保険期間中に死亡した場合に死亡保険金が受け取れるだけでなく、生存している場合、一定期間ごとに生存給付金を受け取れる保険。
・養老保険
死亡保険金と満期保険金が同額の保険で、満期時に生存していれば満期保険金を、保険期間中に亡くなった場合は死亡保険金が受け取れます。
・終身保険
満期がなく、保険料の払い込みが一定年齢や一定期間で満了するタイプと、一生涯払い続けるタイプがあります。
・特定疾病保障保険
がん、急性心筋梗塞、脳卒中によって所定の状態となったときに、生きている間に死亡保険金と同額の特定疾病保険金が受け取れます。
特定疾病保険金を受け取った時点で契約終了となります。
・医療保険
病気やケガで入院や手術をした場合に入院給付金や手術給付金が受け取れる保険です。
・がん保険
がんによる入院、所定の手術によって、給付金が受け取れます。
卵巣がんなど、思いがけない病気やけがなどに備えるための生命保険です。
卵巣がんの手術後、腫瘍が良性と判明した場合に保険金がおりないこともあります。
いざというときに、生活や入院の助けになるようにしっかりと確認したうえで保険の契約が必要です。

生命保険の主契約と特約

卵巣がんなど、病気にかかった場合に生命保険の保険金請求を行いますが、給付されると思っていた給付金が、実際は給付されずにトラブルになる場合があります。
がんの種類によっても一部支払い対象とならない場合もあるのです。
生命保険の契約内容が複雑なのは、多くの場合、様々な機能を持つ保険を組み合わせているからです。
生命保険は、「主契約」と「特約」の組み合わせで成り立っています。
主契約は生命保険のベースとなる部分で、主契約のみの契約もできます。
一方、特約は主契約の保障内容を充実するために、主契約に付加して契約するもので、特約のみの契約はできません。
主契約で死亡保障のある保険は所定の高度障害状態になった時に、死亡保険金額と同額の高度傷害保険金が受け取れますが、高度傷害保険金を受け取った時点で契約が消滅してしまうので注意が必要です。
付加できる特約の保険金額や給付額は生命保険会社により異なります。
特約の保険期間は通常、主契約の保険期間や保険料払い込み期間と同じです。
ただし、終身保険や個人年金保険の終身年金に疾病入院特約や災害入院特約を付加する場合、原則80歳までこれらの特約を継続できることになっているので、この特約も注意が必要です。
保険会社によっては、この特約が一生涯続くものもあります。
また、同じ名まえの特約であっても、生命保険会社によって保障内容や給付条件が異なる場合があるので、よく内容を理解したうえで契約することが重要になります。
入院日数が入院給付金をもらえる日数に足りなくても、手術給付金はもらえる場合もあります。
卵巣がんなどになって、もらえるべき給付をもらえるようにするためにも、主契約・特約の内容は、保険の約款をよく読んで、内容を確認する必要があります。

女性疾病特約

生命保険には特定の疾病の治療に備えるための特約がつくものもあります。
その特約の1つに、女性疾病特約があります。
これは、女性特有の病気やがんなど所定の病気で入院した時に入院給付金が受け取れるものです。
女性特有の病気などで所定の手術をしたとき、手術給付金が受け取れる場合もあります。
女性疾病とは、乳がん・子宮がんなど、保険会社が定めるものを指します。
アフラックの女性疾病特約の場合、女性特定疾病で入院した場合に保障が上乗せされます。
アフラックにおける女性特定疾病とは、卵巣がん・乳がん・子宮筋腫・子宮がんなどが対象となりますが、乳房にできた皮膚がんは対象にはなりません。
この他、対象となるのは、流産・妊娠中毒症・子宮外妊娠など妊娠や出産における合併症や、子宮内膜症・乳腺症・チョコレート嚢胞など乳房や女性性器の疾患や障害、卵巣機能障害、関節リウマチなどが対象となっています。
ただし、乳房の皮膚の炎症や若年性関節リウマチは対象ではありません。
このように卵巣がんなど女性特有の病気に対する保障が手厚い一方で、保障の対象でない疾病もあることに注意が必要です。
また、保障が適用されるのは、責任開始日を含め3ヵ月を過ぎた翌日以降の発症であるなど、しっかり把握しておかなければならない条項を説明や約款で確認しておかなければなりません。
女性に特有な病気であれば、すべて保障されるというわけではないことを知っておきましょう。

外陰がん・腟がん

女性の生殖器にできる婦人科がんの代表的なものは、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんで、一般的に知られています。
しかし、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん以外の、「外陰がん」や「腟がん」は聞きなれないがんです。
外陰がんや腟がんは症例が、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんに比べて圧倒的に少ないため、産婦人科医でも外陰がんや腟がんの経験がなく見落とし、発見が遅れることがあります。
腟入口部(腟の入り口)の外側にできたがんは「外陰がん」、内側にできたがんが「腟がん」です。
がんの発症年齢は高く、おおむね50歳以上です。
70~80歳の女性の発症も珍しくありません。
外陰がんのいくつかの種類の中では扁平上皮がんが最も多く、5割以上を占めます。
症状として多いのはしこりです。
外陰がんでその次に多いのが、皮膚がんの一種「パジェット病」です。
外陰がんの中で最も進行が遅く、浸潤もしにくいので、手術で治りやすいがんです。
しかし、症状がかゆみを伴う赤い発疹なので、産婦人科や皮膚科での受診でも、慢性湿疹に間違われやすく、発見が遅れることがあります。
腟がんの発症年齢も高く、若い人には少ないがんです。
症状は不正出血、おりもの、しこりなどで、この症状でがんと気付くことが多いです。
進行が早く、近接している膀胱や直腸に浸潤や転移が多いのが特長です。
膣がんには、扁平上皮がんと腺がんがあり、80~90%の大部分は扁平上皮がんです。

ドラッグ・ラグ

欧米で開発および発売された新薬が、日本で承認・発売されるまでに約4年と非常に長い時間がかかります。
欧米での発売との時間差は約2.5年で、この新薬承認の時間差をドラッグ・ラグと言います。
卵巣がん体験者の会「スマイリー」は、ヤンセンファーマ株式会社の抗がん剤「ドキシル」の承認を訴え続けています。
このドキシルは、すでに世界80カ国以上で使用されている抗がん剤で、日本でもカポジ肉腫への使用が2007年1月に承認されています。
しかし、卵巣がんに対する申請は2007年1月に行われているものの、承認はまだおりていません。
日本イーライリリー株式会社の抗がん剤「ジェムザール」は世界60カ国で承認されており、日本ではすい臓がんに対する承認はされています。
しかし、この薬もまた日本では卵巣がんに関しては未承認です。
日本化薬株式会社の「トポテカン」は世界70カ国以上で承認されている抗がん剤です。
日本では、肺がんなどに承認されている薬です。
卵巣がんに対しては2007年5月に申請が出されています。
このように、がんであっても、適応症ごとの承認が必要なため、適応部位が異なると使用ができないことも問題となっています。
ドラッグ・ラグは、費用の問題から会社が申請しないという問題、審査を担当する医薬品医療機器総合機構の審査官が少なくて審査がなかなか進まないという問題など、様々な大きな問題を抱えています。
そして、薬はあるのに、その薬を患者が使用できない、そのために家族とともに過ごす時間を縮めてしまうという悲劇も引き起こしています。

卵巣がんの化学療法における標準療法

卵巣がんのうち80%は上皮性のがんです。
上皮性の卵巣がんには、タキソール・パラプラチンを併用し3週ごとに投与するTC療法が効き、70%程度の高い奏効率(腫瘍が1/2に縮小となった状態が4週間以上続く人の割合)が報告されています。
TC療法が卵巣がんの化学療法における標準療法となっています。
タキソール(一般名パクリタキセル)使用に健康保険が適用されているのは、卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がんです。
タキソールはイチイの樹皮から見つかった成分です。
細胞分裂時にできる紡錘糸の形成を阻害します。
パラプラチン(一般名カルボプラチン)使用に健康保険が適用されているのは、卵巣がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肺がん、睾丸腫瘍、悪性リンパ腫です。
卵巣がんに対する奏効率は38%で、タキサン系抗がん剤であるタキソールやタキソテールと併用するのが標準治療となっています。
抗がん剤の併用使用によって効果と安全性を高められるようになっており、今後の研究によってその割合を高くできる可能性があります。
上皮性の卵巣がんに効果の高いTC療法ですが、上皮性の卵巣がんであっても明細胞腺がん、粘液性腺がんの奏効率は2割を切っています。
進行卵巣がんの化学療法に関して、日本で実施された最新の臨床試験結果によると、現在の卵巣がん標準療法に比べ、タキソールの毎週投与法(パラプラチンの投与方法は標準療法のままで、タキソールの1回の量を減らす)の方が、がんが悪化せずに生存する期間(無増悪生存期間)が約10ヶ月も伸びたという結果が出ています。
このように、将来、効果的な療法が判明して標準療法が変わる可能性もあります。

卵巣がんの抗がん剤「ドキシル」

日本で卵巣がんに罹患する人の数は毎年6,000人から8,000人と推定されます。
毎年4,000人以上が亡くなっており、2006年には卵巣がんで4,435人が亡くなっています。
近年、女性のがん罹患率が増加しているのは直腸、肺、乳房、卵巣です。
特に乳房と卵巣の罹患率の増加は1970年代から続いています。
卵巣がんは、発見されたときには進行が進んでいることが多く、転移した状態で手術を受け、手術ではすべてのがんを取りきれない場合、残ったがんを抗がん剤によって治療することになります。
このように抗がん剤は卵巣がん患者にとって治療の重要な位置にあります。
しかし、卵巣がん患者は長年にわたる抗がん剤投与により、抗がん剤に耐性を持ってしまうという問題を抱えています。
このため、卵巣がん体験者の会「スマイリー」は、卵巣がんの抗がん剤「ドキシル」の承認を厚生労働省に求めています。
卵巣がんの抗がん剤「ドキシル」は、2008年8月現在、世界の80カ国以上で使われていて副作用の少ない抗がん剤です。
このドキシルは2007年に作られた卵巣がん治療ガイドラインにも紹介されている抗がん剤です。
しかし、このドキシルは日本では2007年1月に申請が出されていますが、まだ承認されていません。
ヨーロッパやアメリカなど海外で開発・発売された新薬が日本で承認・発売されるまで約4年かかるといわれています。
日本での治験実施や審査など構造上の問題で、海外との新薬承認の時間差が問題とされており、厚生労働省の舛添大臣はこの承認までにかかる4年を1年に短縮することを2007年10月に公約しました。
卵巣がん患者をはじめ、多くのがん患者ががんの新薬の早期承認を持ち望んでいるのです。

婦人科がん

がんは、女性の生殖器である、子宮頸部、子宮体部、卵巣、外陰部、膣、卵管などの様々な箇所にできます。
このように女性の生殖器にできるがんを婦人科がんといいます。
婦人科がんの代表的なものは、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんです。
子宮頸がんは、性交時にHPV(ヒトパピロマウイルス)に感染して起こります。
HPVの中の特定のウイルスだけががんになることがわかっています。
HPVに感染した正常細胞が3~6ヶ月で異形成(疑似陽性の前がん段階)に進行、さらに3~6ヶ月で、一部ががん化します。
異形成段階から上皮内がん(転移のない0期のがん)で早期発見できれば、患部のみを円錐(えんすい)切除する手術で済みます。
円錐切除は日帰り手術ができて、その後の妊娠・出産に影響がありません。
子宮体がんは、子宮内膜の細胞が異常に増殖します。
外来の子宮内膜細胞診で90%発見できるがんです。
規則正しく生理のある人はまず大丈夫ですが、生理不順な人、更年期の女性にリスクがあります。
外陰がんは、診断時の平均年齢は70歳で、閉経後に多いがんです。
膣がんは婦人科がんに占める割合は1%で45歳以上の女性に発生するがんです。
卵管のがんのほとんどは卵管にはじめからできたがんではなく、卵巣がんが転移したものです。
卵巣がんをはじめ婦人科がんに限らず、がんは早期発見すれば体に負担の少ない治療を受けることができます。
定期健診はかかさず受けることが必要です。

子宮内膜症と卵巣がん

子宮内膜症とは、生理の時に剥がれ落ちた子宮内膜が出血した血液とともに子宮から漏れ、腹腔内の子宮以外の卵巣や腹膜、卵管などに癒着(ゆちゃく)して増殖し、そこで生理(出血)を起こすものです。
初期症状としては、生理痛がひどくなってきます。
子宮内膜症は将来、様々な合併症につながるので、できるだけ早期に治療する必要があります。
この場合の合併症とは、卵管が塞がれて起こる不妊症、卵巣がんなどです。
内膜細胞が卵巣内にできた場合には、生理の血液が卵巣内に溜まってチョコレート嚢腫(のうしゅ)となるため、超音波でも容易に判断できます。
チョコレート嚢腫ががん化しているかどうかは、専門医ならば超音波で判断できます。
特に排卵回数が400回以上、排卵年数が40年以上、不妊・未出産・初産が30歳以上の時の人、閉経が遅い人、動物性タンパク質を多く摂る人は卵巣がんのハイリスクを持っているので、入念な検査が必要です。
子宮内膜症の一番の治療は妊娠です。
妊娠すると内膜を増殖させるホルモン分泌がなくなるため、生理もなくなり、子宮以外の内膜細胞は死滅してしまうのです。
子宮内膜症の一般的な薬は点鼻薬と注射です。
どちらの薬も効果は同じでよく効きます。
薬で症状が改善されない場合には手術を行います。
手術をしても、ホルモンが出る限りは薬物療法が必要で、手術だけでは完治しません。
子宮内膜症は生理がひどくなってからの1、2年の初期では完全に治りますが、5年以上経過すると完治が難しくなるので早期治療が重要なのです。

卵巣がんの病期(ステージ)別治療―II期・III期・IV期

卵巣がんの病期(ステージ)II期は、がんが卵巣周辺の腹膜に転移している状態です。
卵巣がんII期の治療は両側の卵巣、卵管、子宮と転移のある腹膜を含めての切除です。
直腸にがんが広がっている場合、直腸を含め切除する場合もあります。
大網は一見して転移がない場合でも切除します。
大網(腸を取り囲んでいる脂肪組織)は一見して転移がない場合であっても切除します。
手術後の検査で、切除した大網に転移が発見されることがあります。
もし転移があれば、病期はII期ではなくIII期になります。
手術時に、後腹膜リンパ節への転移が疑われる場合には、リンパ節のサンプリングを行い、すぐ病理検査を行います。
検査の結果、転移が判明すれば、リンパ管からの転移を防ぐためにリンパ節を郭清します。
転移があれば、病期はII期ではなくIII期になります。
手術後、大網とリンパ節の顕微鏡的検査を行い、その結果、転移のないことがわかってはじめてII期であると確定します。
III期・IV期の場合には、進行がんとして治療を行います。
両側の卵巣、卵管、子宮と転移のある腹膜を含めて切除します。
転移が広範囲にあるので、全身状態が良ければできるだけ多くのがんを手術によって切除します。
しかし、進行が進んでしまっている場合には開腹だけで終了してしまう場合もあります。
また、開腹前、もしくは1回目で取りきれなかったがんを化学療法で小さくしてから手術をする場合もあります。

卵巣がんの病期(ステージ)別治療―I期

卵巣がんは画像診断が難しいがんなので、手術が有効な治療法となります。
良性か悪性かの判断も手術によってはっきりします。
卵巣がんの病期(ステージ)I期は、がんが卵巣だけに留まっている状態です。
卵巣がんの病期(ステージ)がI期の場合、手術で、がんのある卵巣を切除します。
卵巣を摘出して、組織を調べ、がんと判明したら卵巣、卵管、子宮を切除します。
片方の卵巣、卵管だけを切除の場合と、両方の卵巣、卵管、子宮を切除する場合があります。
病期(ステージ)Ia期の患者が妊娠・出産を希望する場合には、腫瘍のある部分の卵巣、卵管、大網を切除します。
大網(腸を取り囲んでいる脂肪組織)は一見して転移がない場合であっても切除します。
手術後の検査で、切除した大網に転移が発見されることがあります。
もし転移があれば、病期はI期ではなくIII期になります。
手術時に、後腹膜リンパ節への転移が疑われる場合には、リンパ節のサンプリングを行い、すぐ病理検査を行います。
検査の結果、転移が判明すれば、リンパ管からの転移を防ぐためにリンパ節を郭清します。
転移があれば、病期はI期ではなくIII期になります。
手術後、摘出物の顕微鏡的検査を行い、その結果卵巣以外にがんの転移がないことがわかった段階で、はじめてI期であると確定します。
転移のない初期の場合には手術だけで治ります。
卵巣がんはがんがなくなったと判断されても再発の多いがんです。
しかし、化学療法が比較的よく効くがんなので、治療の後も定期的な経過観察が重要となります。

セカンドオピニオン

現代は、がんに対する様々な治療方法があります。
また、病院や医師によっても治療方法が変わりますし、医師の勧める治療方法と患者が望む治療が異なる場合もあります。
日本でも、医療事故の頻発などからセカンドオピニオンの考え方が普及し始めています。
卵巣がんなどが見つかり、これから先の治療方針を主治医から伝えられても、患者は混乱しているうえ、治療に対して深い知識を持っておらず不安を抱えています。
大きな決断を迫られ、判断に窮したとき、日常の生活であれば誰かに相談するように、医療に対しても誰かに相談したいという気持ちを持って当然のことなのです。
また、医療技術が日進月歩の今日では様々な治療法が存在するため、医師1人がすべてを知っているわけではありません。
専門の医師や医療機関に意見を仰ぐのは、患者だけのためではないのです。
セカンドオピニオンとは、主治医を変えることではなく、よりよい治療を受けるために主治医以外の意見を求めることです。
納得できる治療法を求めることは、患者の大切な権利です。
決して主治医に失礼な行為ではありません。
もし、セカンドオピニオンをいやがる医者がいれば、その医者は患者の権利を尊重していない、ということなのです。
セカンドオピニオンに必要なものは、主治医からの紹介状・診断の根拠となるCTなどの画像資料・病理標本などです。
本人が入院中などでセカンドオピニオンを受ける病院に行けない場合には、家族が代わりに行って話を聞くこともできます。
様々な医療機関がセカンドオピニオンを受け付けており、セカンドオピニオンの外来を設置している病院もあります。
卵巣がんの治療は、卵巣が破裂しそうだという以外ならばセカンドオピニオンを受ける時間は充分にあります。
自分に納得のいく治療法を受けるためにも、セカンドオピニオンの利用を考えてみましょう。

臨床試験

新しい治療法の動物実験での結果は、動物と人間の体の仕組みが違うため、そのまま人間には適用できません。
そのため、実際に人にその治療法が効果あるのかどうかを確認する必要があり、その効果と安全性を確かめるために行われるのが臨床試験です。
そして、新薬を厚生労働省に認可してもらうための臨床試験は治験と言います。
新薬ができるまでには、下記のようなプロセスがあります。
1.基礎研究
天然に存在する物質・実験室などで人工的に作った物質から新しい薬の候補を選びます。
この工程に2~3年かかります。
2.非臨床試験(動物実験)
ネズミやウサギなどの動物を使い、安全性と効果を確かめます。
この工程は3~5年です。
3.臨床試験(治験)
動物実験で安全性と効果が確かめられたものを、人間でも効果があるかどうか、確認します。
この工程は2~7年かかります。
4.厚生労働省への承認申請・審査
臨床試験(治験)をもとに、薬としての認可を申請し、厚生労働省の審査を受けます。
ここで1~2年かかります。
5.薬の認可
厚生労働省の認可がおりて、薬が販売・購入できるようになります。
一方、研究者(医師)主導臨床試験という臨床試験もあります。
研究者(医師)主導臨床試験には、承認された薬・治療法・診断法の中から最も良い治療法や診断法を確立するためのものや、最も良い薬の組み合わせを見つけるための試験があります。
卵巣がんの治療を受けるにあたって、現在の最も効果的とされる標準治療や、新しい治療法である臨床試験など、自分の症状にあった治療法を医師と相談しながら選択しなければならない時代になっています。
新しい治療法が、卵巣がんに効果的かどうかは、受ける人による違いもあるため治療を受けるにあたっては、慎重に医師と相談する必要があります。

がんの標準治療

病院や治療をする医師によって同じ病状であっても治療方法が異なることが少なからずあります。
さらに、現在においては、新しい治療方法が次々とできてくるために数多くの種類の治療方法があって、どんな治療がよいのかわからないことが少なくありません。
また、病院や医師によって治療の格差が大きくなります。
現在、病気ごとに治療のガイドラインが作成されて、標準的な治療法が示されています。
この標準治療と呼ばれるものは、科学的な臨床試験などによって現在最も効果が大きいと判断された治療法です。
標準治療は、自分が受けようとする治療方法の判断材料となるものです。
しかし難治性のがんでは、標準治療が現在、最も有効と認められている治療であっても、多くの場合は満足できる結果をもたらすことができません。
そのために、様々な新しい治療法が研究され、そして試みられています。
よりよい治療を目指し新しい治療法は行われるものの、標準治療よりもよい結果がでるとは限りません。
新しい治療法を行うのは担当医だけでなく、多くの専門家の管理のもとで行われます。
これが臨床試験です。
また、新しい治療法と標準治療の2つを比較する臨床試験は比較試験と呼ばれます。
比較試験の結果、新しい治療法が優れていると判明すれば、新しい治療法が標準治療となるのです。
これからの卵巣がんの治療は、現在の標準治療、臨床試験中の新しい治療の選択が必要となります。
卵巣がんの治療にあたっては、セカンドオピニオンを取り入れて、どの治療が良いのか、どのような副作用などの不具合があるのかを医師にしっかりと確認してください。

卵巣がんの放射線療法・化学療法

卵巣がんの治療には、外科療法、放射線療法、化学療法などの方法があります。
ここでは、卵巣がん治療に使われる放射線療法と化学療法についての説明をします。
・放射線療法
放射線を身体の外から腫瘍へ照射する外照射と、放射線を放つ放射性リン溶液を腹腔内に注入後、内部から照射する方法があります。
卵巣がんでは、以前は手術後の残った腫瘍に対しよく放射線療法が行われていました。
最近では化学療法が主に行われています。
しかし、脳に転移した腫瘍には放射線治療が行われています。
・化学療法
化学療法とは、抗がん剤を使う治療を指します。
手術で取りきれず残ったがんに対する治療に使われています。
成人のがんの中では、卵巣がんは抗がん剤が比較的よく効きます。
抗がん剤は内服、もしくは静脈注射で投与されます。
直接、腹腔内に注入する場合もあります。
抗がん剤はがん細胞に大きな障害を与えると同時に、正常細胞にも影響が及び、副作用をおこします。
抗がん剤を繰り返しの投与によって、がん細胞が完全消滅する場合もあり、効果が続く場合には、ある程度副作用の起こるまで抗がん剤を使用します。
卵巣がん治療によく利用される抗がん剤の副作用には、血液中の白血球・血小板の減少、脱毛、貧血、吐き気、嘔吐、食欲の低下、手足のしびれなどがあります。
がんの組織型、病期(ステージ)、患者の年齢、がん以外の病気の有無などにより治療方法は異なります。
病状に応じた現在最も効果が高いと判断されている治療法は標準治療と呼ばれています。
情報が氾濫する中で、自分が受ける治療法の判断材料となります。

卵巣がんの外科療法

卵巣がんの治療方法には外科療法、放射線療法、化学療法などがあります。
ここでは、卵巣がんの外科療法についての説明をしましょう。
卵巣がんは手術により確実に診断ができます。
卵巣がんは抗がん剤が比較的効きやすいが、診断が難しいがんです。
そのため、手術を行うことで、がん細胞のタイプや、がんがどの程度広がっているのかがわかり、手術後の治療方針を決めることができます。
卵巣がんの手術は転移の状態や年齢などにより異なります。
下記の方法のうち、通常は卵巣の切除と大網(たいもう)の切除が行われます。
さらに後腹膜リンパ節郭清(かくせい)や腸管などを一緒に切除する場合があります。
(1)卵巣の切除
片側の卵巣や卵管だけの切除、両側の卵巣、卵管、子宮を含め切除する方法があります。
(2)大網切除
大網(胃から垂れ下がり、大腸・小腸を覆う大きな網のような脂肪組織)は卵巣がんの転移が最もよく起きる組織です。
大網を切除しても実害はありません。
(3)後腹膜リンパ節郭清
卵巣がんの転移が起こりやすい部位のひとつが、後腹膜リンパ節です。
後腹膜とは、大動脈、下大静脈、腎臓、尿管などがある場所を指します。
リンパ節郭清とは、がん細胞がリンパ節を通り転移するのを防ぐため、周辺のリンパ節やリンパ管をすべて切除することです。
(4)腸管などの合併切除
腹腔内のがんの転移をできるだけ抑えるために、大腸、小腸、脾臓などを卵巣がんと一緒に切除する場合があります。

卵巣がんの病期(ステージ)

がんの病期(ステージ)とは、がんの進行の度合いを表すものです。
がんがどのくらい広がっているかによって治療方針が変わります。
卵巣がんのステージは下記の通りです。
・I期
がんが片側、もしくは両側の卵巣にだけに留まっている状態。
卵巣表面にがんが認められる場合、腹水の細胞診断で悪性と判断された場合、被膜破綻、いずれかの場合がI期となります。
・II期
がんが卵巣の周囲(骨盤内の卵管、子宮、直腸、膀胱など)の腹膜に転移している状態。
腹膜とは、内蔵の表面を包んでいる膜のことで、腹膜と腹壁の内側の膜がひとつながりになり、腹腔と呼ばれる大きな袋を作っています。
IIa期: がんは子宮・卵管の両方もしくは片側へ広がっています。
IIb期: 骨盤内のその他の膀胱・直腸など骨盤内組織に広がっています。
IIc期: がんが骨盤にある組織に進展し、腹水や腹腔洗浄液が悪性細胞陽性のもの。
・III期
がんが卵巣の周囲(骨盤内)の腹膜だけではなく、骨盤外の上腹部や後腹膜リンパ節に転移している状態。
後腹膜とは、大動脈、下大静脈、腎臓、尿管などがある場所です。
IIIa期: がん細胞が腹膜の表面に広がっている状態。
IIIb期: 腹膜に広がっているがんが直径2cm以下の状態。
IIIc期: がんがリンパ節に転移し、腹膜に広がっているがんが直径2cm以上の状態。
・IV期
卵巣がんが腹腔外に転移しているか、あるいは肝臓に転移している状態。
I、II期は手術で完全に切除できます。
しかし、III、IV期は手術だけでは完全に取り除くことができません。

卵巣がんの腫瘍マーカー

体内に腫瘍ができると、健康時には見られない特殊な物質が腫瘍から作られて血液中に現れてきます。
腫瘍マーカーとは、この特殊な物質を指します。
がんが発生した臓器と腫瘍マーカーは深い関連性があるので、血液中に腫瘍マーカーが多く発生したときには、がんの発生が推測できるのです。
腫瘍マーカーは、がんの早期の場合には陽性と診断されないことが多く、逆に陽性であってもがんでない場合もあります。
腫瘍マーカーは、健常者の血液中にも微量、時には高い値を示すこともあるのです。
そのため、腫瘍マーカーはがんの早期発見の手段としては使わず、がん診断の補助的な手段として、そしてがんの進行を診るうえでの指標として使います。
血液中に微量に存在する糖タンパクであるCA125は、腫瘍マーカーの一項目です。
このCA125という腫瘍マーカーの測定は卵巣腫瘍の良性、悪性の判定に役立ちます。
卵巣がんの最も多いタイプ、漿液性(しょうえきせい)腺がんは、この腫瘍マーカーであるCA125が高い値を示します。
血液中のCA125は、卵巣がんに比較的特異性の高い腫瘍マーカーなのです。
転移のある卵巣がんでは、ほとんどの人はCA125が陽性です。
多くは非常に高値になるため、血液検査のみで卵巣がんと判明する場合もあります。
しかし、早期がんではCA125は陽性になる確率は低く、若い女性の中には軽度陽性であっても、がんのない人も存在します。
したがって、卵巣がんの早期発見において、CA125はあまり役立たないのです。

卵巣がんの症状

卵巣がんの初期は、ほとんど症状がありません。
そのため、卵巣がんの2/3は転移してから見つかります。
卵巣がんには転移しやすいがん・転移しにくいがんがあります。
転移しにくい卵巣がんは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されることがあります。
腫瘍が大きくなると、下腹部にしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
このような異常に気付き、エコー(超音波)検査を受けて、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすい卵巣がんは卵巣内であまり大きくならないうちに転移してしまいます。
腹水のためにおなかが大きくなり、胸水による息切れなど、転移による症状により異変に気づくことが少なくありません。
卵巣がんの転移で一番多いのは腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
卵巣の表面からがん細胞が腹膜に広がっていきます。
腹膜播種は卵巣近くだけでなく、卵巣から一番遠い腹膜である横隔膜にもよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまります。
リンパ節転移により腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れて、次第に胸や首のリンパ節へと広がることもあります。
転移のない卵巣がんは手術だけで治療できますが、転移のある場合には手術と併行で化学治療も行われます。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、それだけでは良性・悪性を判断できません。
判断するためには、画像診断や腫瘍マーカーが用いられます。
画像診断ではエコー検査、MRI、CTなどが行われます。

卵巣嚢腫(のうしゅ)

卵巣の腫瘍は、良性のことが多い卵巣嚢腫と、悪性であることが多い充実性腫瘍に大きく分けられます。
卵巣嚢腫は、卵巣に液状物質が溜まり腫れている状態を指します。
婦人科臓器に関する腫瘍では、卵巣嚢腫は子宮筋腫と並び、発生頻度の高い腫瘍です。
子宮筋腫は、子宮内の子宮平滑筋(へいかつきん)細胞が何らかの原因で筋腫が発生し、女性ホルモンの影響で成長する良性の腫瘍です。
子宮筋腫は小さいものまで含めると大部分の女性が持っているものです。
卵巣嚢腫の大きさはピンポン玉くらいのものや、大きくなるとグレープフルーツ大の大きさになります。
大きくなると茎捻転(けいねんてん)や、出血、破裂の危険性が出てきます。
ほとんど卵巣嚢腫は良性のものですが、まれに悪性のものがあるので、卵巣嚢腫が見つかった場合は慎重に良性か悪性かを判断する必要があります。
主な卵巣嚢腫の種類は下記の通りです。
・機能性嚢腫
排卵の時には卵子を入れる袋である卵胞が大きくなり、卵胞が破裂することによって卵子が飛び出し排卵が起こります。
機能性嚢腫とは、卵胞が破裂せずにそのまま残り排卵が起こらない状態です。
たいていは月経時に小さくなります。
・単純性嚢腫
中に水のたまる良性の卵巣腫瘍です。
大きくならなければ経過観察だけですが、まれに悪性のものがありますので、経過観察はかかさないようにしてください。
・成熟嚢胞性奇形腫 (せいじゅくのうほうせいきけいしゅ)
皮様嚢胞腫、類皮嚢腫とも言います。
内部に骨、頭髪、歯などができる腫瘍で、次第に大きくなることが多く、そのため手術が必要となることが多い腫瘍です。
一部ががん化することがあり、経過観察が必要です。
・子宮内膜症性嚢腫
チョコレート嚢腫とも言われる腫瘍です。
子宮内膜が子宮の内側以外でできる病気であり、子宮内膜症が原因でできる腫瘍です。
卵巣に子宮内膜ができると卵巣内で月経がおこり、その血液によって腫瘍がチョコレート色に見えることから、この名があります。
このように良性の多い卵巣嚢腫ですが、まれに悪性のものや卵巣がんとなるものがあるので卵巣嚢腫であっても経過観察はかかせません。
卵巣がんから命を守るためには、定期健診や経過観察を継続的に受診する必要があります。

茎捻転(けいねんてん)

卵巣は子宮と卵巣をつなぐ2本の靭帯で支えられています。
卵巣に腫瘍ができて5cm以上の大きさになると、おなかの中で回転して靭帯がねじれてしまうことがあります。
これが茎捻転(けいねんてん)です。
この確率は10%くらいと言われています。
靭帯の働きは卵巣を支えるだけではありません。
靭帯には卵巣に通じる静脈や動脈、神経も通っています。
このため茎捻転が起こると卵管や靭帯がねじれることで、血流がさえぎられ、激しい吐き気、発熱、嘔吐を伴う腹痛が起こり、時には意識不明に陥る場合もあります。
静脈圧迫によるうっ血や、神経圧迫による痛みが起こるのです。
また、腫瘍が破裂し、出血、化膿の症状が起こる場合もあります。
茎捻転になった場合には、早急に手術を受ける必要があります。
手術では、腫瘍や、場合によっては卵管や卵巣の摘出となります。
卵巣を取ってしまっても、卵巣は元々2つあり、片方が残っていますので妊娠・出産は大丈夫です。
茎捻転(けいねんてん)のリスクを抑えるため、卵巣腫瘍が6cmを超える場合には、良性であっても手術を考えたほうが良いでしょう。
また、茎捻転によって卵巣腫瘍があることに気づくこともあります。
虫垂炎と間違われる場合もあるので、注意が必要です。
このように、たとえ腫瘍が卵巣がんでなかったとしても、卵巣の腫瘍は大きな疾病につながることがあるのです。
卵巣がんにかかっていないか、腫瘍はできていないかなどをチェックするためにも、子宮検査とセットにして卵巣を定期健診することが必要です。

卵巣腫瘍―卵巣嚢腫と充実性腫瘍

卵巣腫瘍は、大きく2つに分けることができます。
その2つとは、良性であることが多い「卵巣嚢腫(のうしゅ)」と、悪性であることが多い「充実性腫瘍」です。
卵巣腫瘍のうち9割は「卵巣嚢腫」です。
残り1割が「充実性腫瘍」で、このうち8割が悪性であり、その代表的なものが卵巣がんなのです。
卵巣嚢腫は、卵巣腫瘍の中に分泌液が溜まってしまう袋状のものを指します。
卵巣嚢腫は、この袋の中身によって、毛髪や歯、骨、皮膚などが含まれている成熟嚢胞性奇形腫(類皮嚢胞腫、皮様嚢胞腫)、子宮内膜の組織や血液がたまることによりチョコレート色になる腫瘍のチョコレートのう腫、中にサラサラとした液体がたまる漿液性嚢腫(しょうえきせいのうしゅ)、ゼラチンのようなドロドロした粘液がたまる粘液性嚢腫(偽ムチン嚢腫)など、様々な種類があります。
充実性腫瘍は、卵巣の細胞が増殖してできた腫瘍で、触ると硬いので、腫瘍が大きくなって、おなかを触って硬くなっていることからわかる場合があります。
腫瘍が小さいうちは自覚症状がなく、腫瘍が大きくなって、硬いしこりや下腹部痛が起こるときがあります。
良性から悪性に移行することもあります。
充実性腫瘍は、腫瘍全体が充実成分(固形成分)である腫瘍と、充実成分・液体成分で構成される腫瘍があります。
卵巣嚢腫・充実性腫瘍とも小さいうちは自覚症状がありません。
腫瘍が大きくなり、腹部の圧迫感や不正出血、体重が増えないのにおなかがぽっこりしてくるなどの症状が出てわかることがあります。
卵巣がんは発見が難しいがんですが、子宮がん検診の時に卵巣のチェックも一緒に行うことで早期発見できる場合もあります。
子宮と卵巣をセットにして、定期健診することをお勧めします。

卵巣腫瘍と卵巣がん―胚細胞腫瘍

卵巣は主に、卵巣の表面を覆う表層上皮、ホルモンを作る細胞である性索間質、卵子のもとになる卵細胞(胚細胞)という組織から形成されています。
卵巣腫瘍の1つである胚細胞腫瘍は、胚細胞である卵細胞由来の腫瘍です。
幼年期を含む若年層に多い腫瘍です。
良性腫瘍・悪性腫瘍(がん)・良性と悪性の中間の性質を持つ中間群(境界悪性)があります。
胚細胞腫瘍には下記のような種類があります。
・成熟嚢胞性奇形腫 (せいじゅくのうほうせいきけいしゅ)
胎児が発生する段階の細胞が卵巣の中で腫瘍を形成したもの。
嚢胞内部に皮脂、毛髪、歯、軟骨などを含んでいます。
大きさは通常、直径10cm以下です。
皮様嚢胞腫、類皮嚢腫とも言います。
手塚治虫の漫画、ブラックジャックの中で、ブラックジャックがピノコを作ったのがこの腫瘍です。
良性の腫瘍です。
・未熟奇形腫
未熟な体細胞組織由来の奇形腫で、悪性と中間群にまたがる腫瘍です。
・卵黄嚢腫瘍
悪性腫瘍に分類されます。
10歳代にみられる腫瘍で、切除と化学療法による治療により、80%以上の生存率です。
・絨毛がん
絨毛細胞からなる悪性腫瘍です。
絨毛とは胎盤の外にある細い糸状組織で、これを通じて赤ちゃんは母親から酸素と栄養を受け取っています。
絨毛がんは流産や死産、正常分娩の後に残った絨毛などから発生します。
・未分化胚細胞腫
悪性腫瘍に分類されています。
思春期にみられる腫瘍で、卵巣卵管切除による腫瘍摘出と化学療法の併用により、約90%の生存率です。
この他にも、胚細胞腫瘍には様々な種類があります。
多くの種類のある卵巣腫瘍のうち85%は良性であり、卵巣がんではありません。
しかし、卵巣がんは進行が早く自覚症状が乏しいので、注意の必要ながんなのです。

卵巣腫瘍と卵巣がん―性索間質腫瘍

卵巣は主に、卵巣の表面を覆う表層上皮、ホルモンを作る細胞である性索間質、卵子のもとになる卵細胞(胚細胞)という組織から形成されています。
卵細胞を性索間質が取り囲み、卵胞を形成しています。
卵巣腫瘍のうち、性索間質にできる性索間質腫瘍は次のものがあります。
性索間質腫瘍は卵巣腫瘍のうち5%です。
性索間質腫瘍にも、良性腫瘍・悪性腫瘍(がん)・良性と悪性の中間の性質を持つ中間群(境界悪性)があります。
・セルトリ・間質細胞腫瘍
高分化型は良性として扱われますが、中分化型は中間群、低分化型の悪性腫瘍に分類されています。
発生した組織に近ければ近いほど高分化と言われ、反対に低分化とは発生した組織との類似点が少ないものを指します。
・顆粒膜細胞腫
中間群に分類される腫瘍です。
・線維腫
線維芽細胞(せんいがさいぼう)からできる腫瘍で、良性腫瘍に分類されています。
・莢膜(きょうまく)細胞腫
莢膜細胞からできる腫瘍で良性です。
莢膜とは卵巣の卵胞を包む結合組織の層で、莢膜細胞とは、卵胞内で性ホルモンを作り、卵子の発育に重要な役割を果たしている細胞です。
・線維肉腫
線維芽細胞からできる腫瘍で、悪性腫瘍に分類されています。
線維芽細胞とは、コラーゲン繊維をつくる細胞のことです。
このように、卵巣腫瘍は多くの種類に分かれていますが、85%は良性です。
ただし、卵巣がんは発生関連する強い要因がありません。
卵巣がんは自覚症状も少なく進行した状態で発見される事が多く、注意が必要ながんなのです。

卵巣腫瘍と卵巣がん―上皮性腫瘍

卵巣腫瘍は他の臓器に比べ、腫瘍種類がとても多いのが特徴です。
しかし、卵巣腫瘍の85%は良性の腫瘍です。
卵巣の主な組織は、卵巣の表面を覆う表層上皮、ホルモン産生する性索間質、卵子のもとになる卵細胞(胚細胞)です。
発生場所による分類で、一番多いのが、卵巣の表面を覆う細胞由来の上皮性腫瘍です。
上皮性腫瘍には、良性腫瘍・悪性腫瘍(がん)・良性と悪性の中間の性質を持つ中間群(境界悪性)があります。
上皮性腫瘍は漿液(しょうえき)性・粘液性・類内膜腫瘍・明細胞がん・ブレンナー腫瘍の5つの細胞型があり、それぞれ性質が違います。
・漿液性腫瘍
漿液性腫瘍には、良性漿液性嚢腫(のうしゅ)と漿液性腺がん、があります。
良性漿液性嚢腫(のうしゅ)は、水のようなさらさらした液体が嚢腫の中に溜まります。
・粘液性腫瘍
嚢胞(ほうのう)内部にネバネバした粘液が溜まる腫瘍です。
この腫瘍は肥大化することがあり、肥大化した腫瘍がお腹の中で嚢胞が破裂して粘液が漏れ、腹膜炎を起こすことがあります。
・類内膜腫瘍
子宮内膜の腫瘍と類似する腫瘍で、良性と悪性の性質を持つ中間群。
・明細胞がん
化学療法が効きにくく、手術で取るのが良いと言われています。
・ブレンナー腫瘍
多くは良性の腫瘍です。
卵巣がんのうち80パーセントは上皮性のがんです。
卵巣がんは、はじめのうち自覚症状が乏しいため、2/3は転移した状態で見つかります。
転移のない場合は、手術だけで治ります。
しかし、転移のある場合には、手術だけでなく化学療法も併用して治療が行われます。

卵巣と卵巣がん

卵巣は子宮の両脇にひとつずつある、生殖細胞である卵子を作っている直径2~3センチのうずらの卵くらいの大きさの臓器です。
卵巣は子宮の両脇から伸びた卵管にぶらさがっています。
卵巣には卵子のたまごである原始卵胞が生まれた時から数百万個もあります。
その原始卵胞が思春期になると成熟し、約1ヶ月に1度、1個ずつ卵子になり、卵管を通って子宮に送られます。
これが排卵です。
卵巣には女性ホルモンを分泌する機能もあります。
排卵の準備をするエストロゲン(卵胞ホルモン)・黄体期(排卵後~次の月経)に分泌され排卵を抑制するプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンが分泌されます。
プロゲステロンは、妊娠前は子宮に卵子が着床しやすい状態を作り、妊娠後は赤ちゃんが成長しやすい状態を作ります。
これらのホルモンは女性らしい体を作り、健康や精神状態を安定させます。
卵巣は、このように女性にとって重要な役割のある臓器です。
そして、一番腫瘍のできやすい臓器と言われていますが、卵巣にできる腫瘍の85%は良性です。
卵巣は沈黙の臓器とも言われており、卵巣がんは自覚症状が少なく、発見されたときには進行が進んでいることが多いがんです。
卵巣がんは、家族が卵巣がんにかかっている場合には、かかるリスクの大きながんです。
卵巣がんの罹患率(=発生率)は40歳代になると大きくなり、50歳前半がピークとなります。
40歳代の女性がかかるがんの内、乳がん、子宮がん、卵巣がんが6割を占めます。